蓄電池を活用した周波数制御技術に関する実証試験の取組み結果について
2022年2月25日
関西電力送配電株式会社
エリーパワー株式会社
株式会社三社電機製作所
山洋電気株式会社
住友商事株式会社
住友電気工業株式会社
株式会社ダイヘン
ニチコン株式会社
株式会社日本ベネックス
富士電機株式会社
株式会社YAMABISHI
蓄電池を活用した周波数制御技術に関する
実証試験の取組み結果について
関西電力送配電株式会社(以下、関西送配電)を含む11社は、2021年12月8日~14日の期間にわたり、需要家が保有する蓄電池9台※1を一括制御することで、電力系統における周期の短い負荷変動に合わせて即時充放電させるVPP※2実証試験を実施し、本日、結果を取りまとめましたのでお知らせします。
世界的に脱炭素化の取組みが強化されている中、我が国においても政府より2050年カーボンニュートラル宣言が発出されており、今後益々、再生可能エネルギーの導入が拡大することが想定されます。電力の安定供給と再生可能エネルギーのさらなる導入拡大を同時に達成していくためには、周波数調整力※3の確保が課題のひとつとなっており、蓄電池を一括制御する技術はその解決策として期待されています。
関西送配電は、2020年度までに、日本電気株式会社(NEC)と構築した、蓄電池を一括制御するための蓄電池群監視制御システム「K-LIBRA※4」を用いて、複数の需要家の蓄電池を遠隔から秒単位で一括制御する試験※5に取り組んでまいりました。
従来から周波数制御ができることを確認していたGF相当制御※6およびLFC制御※7に加え、今回新たにEDC-H制御※8の検証を行いました。
検証の結果、それぞれの応動が現時点において議論されている需給調整市場の 1 次調整力、2 次調整力①および 2 次調整力②の要件※9を満たすことを確認しております。
関西送配電を含む11社は、引き続き蓄電池等のエネルギーリソースを用いた周波数制御技術の実用化に向けた技術の確立を目指し、電力の安全・安定供給および再生可能エネルギーのさらなる導入拡大によるゼロカーボン社会の実現に貢献してまいります。
※1 エリーパワー株式会社が保有する家庭用蓄電池1台。
株式会社三社電機製作所、山洋電気株式会社、住友商事株式会社、住友電気工業株式会社 、株式会社ダイヘン、ニチコン株式会社、株式会社日本ベネックス、株式会社YAMABISHIが保有する産業用蓄電池 8 台。(富士電機株式会社は、住友商事株式会社および日本ベネックス株式会社が所有する蓄電池のベンダーとして参加。)
※2 Virtual Power Plant の略。(別紙P6 参照)
※3 電力系統の周波数を一定(50Hz/60Hz)に保つために、一般送配電事業者が調整に使用する電力。周波数が変動すると電気の品質が低下し産業用機器の使用などに不具合が生じるおそれがあるため、電力系統の周波数を一定に保つことが重要である。現在は、主に火力発電および水力発電が周波数調整力を供出している。
※4 Kansai transmission and distribution’s Liberty to manage the power grid Integrated Batteries and energy Resource Aggregator(s)の略。
※5 2019 年 5 月 22 日、2020 年 3 月 25 日、2021 年 3 月 22 日お知らせ済み。
※6 発電機等の回転速度を一定に保つように、動力である蒸気および水量を自動的に調整する装置である調速機(ガバナ)により、系統周波数の変化に追随して出力を調整させる制御(Governor Free の略)。本試験においては、蓄電池にて計測した系統周波数を基に、蓄電池が発電機と同等の充放電制御を実施している。
※7 需要予測が困難な負荷変動(数分から十数分程度の周期)に対して、検出した系統周波数に基づく中央給電指令所からの指令に応じて、電源等の出力制御をすること(Load Frequency Control の略)。本試験においては、中央給電指令所[模擬]からの LFC 信号を監視制御サーバが受信し、各蓄電池へ信号を送信することで、各蓄電池が充放電制御を実施している。
※8 比較的長時間の負荷変動(数十分から数時間程度の周期)に対応するため、需要予測に基づく中央給電指令所からの指令に対して、5 分以内に電源等の出力制御をすること(Economic load Dispatching Control の略)。本試験においては、中央給電指令所[模擬]からの EDC-H 信号を監視制御サーバが受信し、各蓄電池へ信号を送信することで、各蓄電池が充放電制御を実施している。
※9 一般送配電事業者が需給調整市場で調達する調整力は、応動時間の速さ等によって、5つの商品区分に分けられており、1 次調整力、2 次調整力①および 2 次調整力②とは、そのうち応動時間の速い商品区分のこと。ここで指す要件とは、第26 回 需給調整市場検討小委員会で示されたアセスメントの要件。
以上