掲載記事のご案内:「日刊工業新聞」不撓不屈 ④ 失敗恐れず挑戦を
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人と組織を強く
大型映像装置などの機器製作や太陽光発電事業を展開する日本ベネックス(長崎県諫早市)。社長の小林洋平が入社した2011年ごろは「追い詰められていた」というほど業績は伸び悩んでいた。今では新規事業の太陽光発電が売り上げの約2-3割を占めるまでに成長し、業績を支えている。16年に社長に就任した小林は「盛り返していくところ」と、力強く言い切る。
現在進む中期経営計画のポイントが「人と組織を強くする」。小林は「トップダウンでは成功しない。どれだけ下からモノづくりの改善提案が上がってくるか」と会社全体の底上げを目指す。
個人が自主的に行動しなければ会社は成長しないと考える。
品質や納期、多品種少量対応といった従来の強みを磨いて、「失敗してもいい。チャレンジしていこう」と呼びかけている。
就業体験を充実
制度の見直しでは効率の良い働き方を評価する仕組みを導入。長時間労働をたたえる価値観の払しょくに努める。改善提案には社長賞を設けて従業員一人ひとりの参加意識を高めた。設備投資には毎年、数千万から2億円をかけて生産体制の強化も怠らない。
人材確保も大きな課題だ。17年にはインターンシップ(就業体験)制度を充実させようと内容を見直した。従来は簡単な作業が中心だったが、「モノづくりの楽しさを理解してもらうこと」をテーマに掲げた。例えばペンケースなど学生各自が作りたい物を考え、設計から金属加工、溶接まで1週間かけて形にする。学生の反応はインターンシップ前後で見違えるようになり、上々な感触を得ている。
宝物を生かす
また知名度向上などのため小林は長崎大学で経営について講義するようになった。長崎市内では社名が目立つラッピング広告を車体に施した路面電車が走る。今後はUターンやIターンの優秀な人材を獲得し、社内に刺激を与えてほしいと期待している。
小林は学生時代、年に4-5回はアジアやヨーロッパを旅していた。そんな行動力は衰えず「アクセルを踏みまくり組織を前向きにしていきたい」と笑顔で語る。
社長としての航海は始まったばかり。入社してから自社の技術や製品の幅広さに多くの“宝物”を見付けた。トレジャーハンター(宝探しの冒険家)になる必要はない。宝物をどう生かすかの航海でかじを取る。
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